遺伝って不思議なものだ。
昨日は単身赴任の父親から連絡があり、体調を崩して急遽出張先から戻るとのことだった。最近あまり体調がよくなかったこともあり、翌日即精密検査を受けることと、もしかしたら悪性の病気かもしれないとのことが伝えられた。
それを電話で聞いた母親はすっかり動転して泣きながら私の部屋に来た。母親をなだめつつ、私が思ったのは
『泣き方が私にそっくりだな』
ということだ。(正確には私の泣き方がそっくりなんだろう)
私もかなり驚きショックだったはずなのだが、混乱している人間を目の前にして落ち着かざるをえなかったのか、現実から逃げていたのかはわからないが、妙に客観的な自分がいた。
昔からよく言われるが、私は姿形も性格も母親とさっぱり似ていない。昔はそれを恨んだものだが、まさかこんな所が似ているとは思わなかった。
母親の泣くところなんて滅多に見た記憶がないのに、不思議なものだ。
幸い父親は特に命に別状ある病気ではないようで、母の涙も取り越し苦労となり一安心だった。
もしかしたら運命の分岐点だったかもしれない日のことを思い出すとき、きっと私は自分と母親の泣き方が似ていることを思い出すんだろう。
いつかいつかと思っていたが、元気なうちに親孝行をしておこうとも思った。